佐仁通信

異変


 わが家の庭には老木の緋寒桜が一本生えています。樹齢はわかりません。先住の人が植えた木で、毎年一月下旬から二月上旬にかけて美しい花を咲かせます。そのころ家の近くを通る人たちは『なんてぜいたくな、居ながらにして桜の花見ができるとは』と羨ましがります。この桜の花だけでなく、たくさんの小鳥たちが花の蜜を求めてやってくるので、私たち夫婦はいただきもののミカンを輪切りにして木の枝にかけ、いろいろな小鳥が来るのを待つのも楽しみのひとつです。

 ところが、今年はすこし気になっていることがあります。山にミカン畠をもっている知り合いの人たちが、ヒヨドリや大きめの鳥がやってきてミカンを食い荒らし、ただでさえ裏年で実の出来が悪いのに困っているとぼやいておられるのです。網をかけたり、番をして追い払ったりしても完全に防ぐのは無理なようです。
 その余波が里の方にも現れているようです。昨年まで見かけることがなかった大柄な鳥が、家の前の木や電線に二、三羽一緒に羽を休めているのをよく見かけます。その大きな鳥たちに勢力を押されたのか、毎年姿を見せていたメジロやウグイスのような小鳥たちが今年はさっぱり見られなくなったことです。

 農業を営んでいる甥の話ですと、本土が寒いので本来は渡り鳥なのに暖かい奄美で越冬しているのではといっています。
 最近、潮位が上がっているとか、砂浜が極端に狭くなった場所があるとか、鳥が移動しなくなったとか、いろいろ気象条件に関係がありそうな異変が感じられます。
 わたしたち人間が快適さや便利さを追求するあまりたくさんの自然を破壊し、その仕返しを自然から受けているのかなと、自省のねんをつよめているきょうこのごろの私です。



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