佐仁通信

野球観戦

松元　みき　　　

　わたしの親戚に八十九歳になるおばさんで、大の野球ファンのひとがいます。プロ野球では、巨人ファンなので、わたしたちとはよく話が合い、親戚の集まりで顔をあわせると、きのうの桑田投手のピッチングはすばらしかったとか、松井のホームランは良く飛んだねとか、ひとしきり野球の話でもりあがります。
　そういうわたしがテレビのプロ野球の番組を楽しみにするようになったのは八年ほど前からです。息子がどんなに遅く帰宅しても、シーズン中は、ナイターの結果を必ず確かめていたのが、わかるようになりました。巨人ファンになったのは、前監督の長島茂雄さんの明るいキャラクターに惹かれたのかもしれません。
　いまは、野球に興味をもてるようになってほんとうに良かったと思います。今年のペナントレースは、セ・リーグが巨人、パ・リーグが西武それぞれ優勝し、日本シリーズを待つだけになりましたが、わが家では、シーズン中は、六時からラジオで、七時になってテレビ映像が出るようになると、夫と二人夕食をとりながら、九時二十四分までテレビ放映中に試合が終わらない場合は、またラジオに切り替えて、最終結果を確かめるようにしています。試合の模様が気になるので途中で中座はしません。
　昨年ドラフト一位で入団し、巨人のキャッチャーとして急成長中の阿部慎之助が大好きです。チームメートから『サヨナラ慎ちゃん』とニックネームをつけられるほどの、ここ一番の時の勝負強さ、サヨナラホームランや、サヨナラヒットを打って、チームが勝ったときの、身体全体で喜びを表現する姿が若々しく、とても魅力的です。
　年齢を重ね、外出もままならくなった時にテレビで野球観戦ができることは、大きな楽しみになると思います。高校野球ももちろん大好きです。野球にまったく関心のない姉に野球観戦をすすめたところ、そんな暇はないと一笑されました。やはり人それぞれということでしょうか。
　しかし試合中の監督の采配、選手の表情、アンパイアのストライク、ボールの判定の行方など、さまざまな人間模様が写し出されて気持ちよい緊張感を覚え、三時間半はあっという間に過ぎてしまいます。関東地区に住んでいたとき、東京ドームで野球観戦をしたのも野球好きになった一因かもしれません。
　たかが野球、されど野球・・・・。わたしはこれからもずーっと野球観戦をつづけるでしょう。

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